ミュルミドーン(古希: Μυρμιδών, Myrmidōn)は、ギリシア神話の人物である。長音を省略してミュルミドンとも表記される。テッサリアー地方のプティーアーの王で、大神ゼウスとクレイトールあるいは河神アケローオスの娘エウリュメドゥーサの息子。アイオロスの娘ペイシディケーとの間にアンティポス、アクトールをもうけた。またエリュシクトーン、娘エウポレメイア、ヒスキュラの父であるとも言われる。
神話
神学者アレクサンドリアのクレメンスによると、ゼウスは蟻(ミュルメクス)の姿になってエウリュメドゥーサと交わり、ミュルミドーンをもうけた。そのためテッサリアー地方の人々は蟻を崇拝すると述べている。
子供たちのうち、エリュシクトーンはデーメーテールに対して不敬であったために女神の怒りを買い、飽くなき食欲を送られた。アクトールはメノイティオス、エウリュティオーンの父(あるいはエウリュティオーンの祖父)となった。エウポレミアーはヘルメースに愛されてアイタリデースを生んだ。ヒスキュラはトリオプスとの間にポルバース、あるいはエリュシクトーン、イーピメデイアを生んだ。
脚注
参考文献
- アイリアノス『ギリシャ奇談集』松平千秋、中務哲郎訳、岩波文庫(1989年)
- アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫(1953年)
- アレクサンドリアのクレメンス『プロトレプティコス(ギリシア人への勧告)全訳』秋山学訳、『文藝言語研究. 文藝篇』57巻, p.1-82, 筑波大学文藝・言語学系(2010年)
- 『オデュッセイア / アルゴナウティカ』松平千秋・岡道男訳、講談社(1982年)
- オウィディウス『変身物語(上)』中村善也訳、岩波文庫(1981年)
- 『ヘシオドス 全作品』中務哲郎訳、京都大学学術出版会(2013年)
- 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店(1960年)




