喜屋武岬(きやんみさき)は、沖縄本島南西端に位置する岬で、沖縄県糸満市喜屋武に属する。

地理

一般には喜屋武岬が沖縄本島最南端と誤解されがちだが、東南東約1.4km離れた荒崎が実の最南端である。1991年発行の『角川日本地名大辞典』によれば、当時の地形図には喜屋武地区の南西端を「喜屋武岬」としているが、そこから東へ約1km離れた慰霊碑「平和之塔」と灯台へ向かう場所に喜屋武岬の案内標識があるという。また大木隆志(2002年)によると、地形図では喜屋武南西端に記された「喜屋武岬」が削除され、慰霊碑や灯台のある場所に当岬が表記されているという。

喜屋武岬一帯は琉球石灰岩の海岸段丘を形成している。喜屋武南西端の海岸は約1mの平坦なカレンフェルトを成すが、荒崎付近は高さ約5m、灯台付近は高さ約30mの断崖となる。

展望台が、2022年度グッドデザイン賞受賞。

歴史

元来「喜屋武」(方言でキャン)は限度・到達を意味する「~まで」を表す「きやめ」から変化したと考えられる。周辺住民は喜屋武地区の南西端の岬を「キャンサチ」(「キャンヌサチ」)、灯台近くの岬を「キャンミサキ」(「キャンミサチ」)と呼んで区別している。明治時代の水路誌には「喜屋武崎(埼)」と記され、国土地理院の『標準地名集』(1981年発行)には、「喜屋武崎(きやんざき)」とある。またバジル・ホールとマシュー・ペリーの探検記には当岬一帯を「サウス・ポイント(South Point )」と命名しているが、記述内容から荒崎を示す名称でないかと考えられる。

灯台の西方500mに国の史跡に指定されている具志川城跡があり、13 - 14世紀の中国の陶磁器が出土している。バジル・ホールは1816年10月14日に、喜屋武岬・荒崎一帯を巡航、近海に大きさ約10マイル(約16km)のサンゴ礁地帯が存在し、上陸は困難であったと述べている。翌日彼はようやく付近に接岸し、そこで出会った漁民と会話を交わしている。当地一帯は沖縄戦の激戦地で、米軍から逃げ場を失った住民・日本軍は自決し最期を遂げた。当地一帯は沖縄戦跡国定公園に含まれている。

付近の史跡・施設

  • 平和之塔
  • 平和創造の森公園
  • 具志川城跡
  • 沖縄航空無線標識局

交通

  • バス - 一般路線バスは「喜屋武」バス停が最寄りであるが、喜屋武岬とは約2km離れている。
    • 糸満バスターミナルもしくは糸満ロータリーから琉球バス交通南部循環線(107番または108番)に乗車。
  • 予約制乗合タクシー「いとちゃんmini」 - 路線バスより喜屋武岬に近い停留所で乗降可。予約制で糸満バスターミナル、糸満ロータリーなど糸満市内各地の停留所で日中のみ利用可。
  • 車 - 国道331号より真栄里(友愛会南部病院前交差点)で旧道へ入り、小波蔵で沖縄県道3号線へ。

ギャラリー

出典

参考文献

  • 角川日本地名大辞典編纂委員会編 『角川日本地名大辞典 47.沖縄県』 角川書店、1991年。ISBN 4-04-001470-7
  • 沖繩大百科事典刊行事務局編 『沖繩大百科事典』 沖縄タイムス社、1983年。全国書誌番号:84009086
  • 平凡社地方資料センター編 『日本歴史地名大系第四八巻 沖縄県の地名』 平凡社、2002年。ISBN 4-582-49048-4
  • 建設省国土地理院地図管理部 『標準地名集(自然地名) 増補改訂版』 建設省国土地理院地図管理部、1981年。全国書誌番号:82003525
  • 大木隆志 『海と島の景観散歩 沖縄地図紀行』 ボーダーインク、2002年。ISBN 4-89982-027-5

関連項目

  • 荒崎 - 実際の沖縄本島最南端の岬。
  • 辺戸岬 - 同島最北端の岬。
  • 沖縄戦

外部リンク

  • 糸満市公式サイト


喜屋武岬 OKINAWA41

喜屋武岬(きゃんみさき)

喜屋武岬 岡山太陽のそばの果樹園

喜屋武岬 (きゃんみさき)

喜屋武岬 沖縄観光情報WEBサイト おきなわ物語