ゴラン・フィリペツ(Goran Filipec、1981年 - )は、クロアチア出身の著名なコンサートピアニストであり、特にフランツ・リストの作品に対する深い理解と演奏で知られています。彼の演奏は、技術的な卓越性と豊かな表現力で高く評価されている。
生い立ちと教育
1981年、クロアチアのリエカに生まれた。幼少期から音楽に親しみ、地元の音楽学校でピアノを学びました。その後、モスクワ音楽院、ハーグ王立大学院、ケルン音楽大学、ザグレブ音楽院など、ヨーロッパ各地の名門音楽院で研鑽を積みました。主な師としては、ナウム・グルーベルト、ナタリア・トゥルル、オクサナ・ヤブロンスカヤ、エフゲニー・ザラフィアンツらが挙げらる。
受賞歴と演奏活動
2009年のホセ・イトゥルビ国際音楽コンクール(ロサンゼルス)、2010年のパルナソス国際ピアノコンクール(モンテレイ)、2012年のガバラ国際ピアノコンクール(アゼルバイジャン)など、数々の国際的なピアノコンクールで上位入賞を果たした[en]。
演奏活動においては、2006年にニューヨークのカーネギーホールでデビューを果たし、その後、ミラノのオーディトリウム、サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場、パリのフィルハーモニー・ド・パリ、ブダペストのベーラ・バルトーク国立コンサートホールなど、世界各地の著名なホールで演奏を行っている。
学術的な研究と教育活動
演奏活動の傍ら、フィリペツはパリ・ソルボンヌ大学およびパリ国立高等音楽院の博士課程において、パガニーニがピアノ作品に与えた影響に関する研究を行いなった。この研究は、音楽解釈における主観性の重要性を強調し、彼の演奏スタイルにも大きな影響を与えている。
ディスコグラフィー
ディスコグラフィーには、以下のようなアルバムが存在する。
- リスト:パガニーニによる超絶技巧練習曲集
- 2016年にリリースされたこのアルバムは、リストのパガニーニによる超絶技巧練習曲全曲を収録しており、フランツ・リスト協会からグランプリ・デュ・ディスクを授与された。
- イヴォ・マチェク:ピアノ作品全集
- 2014年にリリースされたこのアルバムは、クロアチアの作曲家イヴォ・マチェクのピアノ作品全集を収録している。
- リスト:アニバーサリー・レゾナンス
- 2012年にリリースされたこの2枚組アルバムは、リストの作品を集めたもので、彼の多様な作風を堪能できる。
- ラフマニノフ&ムソルグスキー:ピアノ作品集
- 2006年にリリースされたこのアルバムは、ラフマニノフとムソルグスキーのピアノ作品を収録している。
評価と影響
演奏は、批評家から高い評価を受けています。グラモフォン誌のジェレミー・ニコラス氏は、難曲であることを忘れさせるようなテクニックで、フィリペツは聴き手に生演奏のスリルをもたらすだけでなく、そこに無邪気さや遊びをみせていると述べている。
また、ニューヨーク・コンサートレビュー誌のエディス・アイスラー氏は、流れるようなパッセージ、輝かしいトリル、歌われたメロディ、重厚な和音がホールを満たした。彼はテンポのゆるやかな楽章のなかにドラマをとらえ、暗闇とメランコリーを描き出したと評している。
脚注
外部リンク
ゴラン・フィリペツ(NAXOS JAPAN)




